バルバドスカギムシ
学名:Epiperipatus barbadensis
サイズ:6cm
分布:バルバドス
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「カギムシ」と言われても、どんな動物なのか全くイメージが沸かないと思います。カギムシは、それくらい知名度の低いマイナーな生物です。ですが、生物学の中では独特な位置にあり、有爪動物(ゆうそうどうぶつ)門という大カテゴリーに分類されています。現在の有爪動物にはカギムシの仲間以外に近縁な動物はいません。有爪動物は非常に原始的な生き物で、カンブリア紀の地層からも類似グループの化石が見つかっています。カギムシは脚のような突起がたくさん付いた細長いナメクジのような姿をしていますが、体の表面は防水加工されたように水滴などを弾く構造で、その質感からベルベットワームとも呼ばれます。最も大きな特徴は、有る爪と書くだけあって、いくつもある脚の先端に短い鉤爪のようなものが付いていることです。カギムシの仲間は世界各地に分布していますが、本種はカリブ海に浮かぶバルバドス島に生息する種類です。森林の落ち葉の下などに生息しており、小さな昆虫などを捕食しています。餌の捕りかたは独特で、獲物を見つけると口の近くにある孔からネバネバした液体を噴射し、獲物を絡め取ってから食べていきます。こお液体はとても粘着力が強く、人間の指にくっつくと接着剤のように作用するほどです。
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| | | 入手と飼育 | | |
機会はごく稀ながら、寄虫類を取り扱うペットショップなどで販売されていることがあります。とても変わった姿や習性を持つこんな生き物が、売られていることがあるの?とびっくりするかもしれませんが、カギムシの飼育動物としての流通はごく少数ながらかなり昔からあったのです。ただし低温を好むカギムシの仲間は、少し高い温度に晒すと一瞬で溶けてなくなってしまうほどのはかなさで、飼育は難しく、あまり現実的ではありませんでした。そこに流星のごとく登場したのがこのバルバドスカギムシです。本種の場合は他のカギムシの仲間とは違い、適応できる温度帯が23〜28℃くらいと広いため、飼育がずっと容易です。飼育下での繁殖も可能で、雌雄が揃っていればいつの間にか交接しており、ふと1〜3匹の子供を産むことがあります(本種は直接子供を生む胎生の生物です。他のカギムシには卵を産む卵生種もいます)。幼体はとても小さく、全長5mm程度。親と一緒に落ち葉の下に固まっている様子は、見ていてほほえましい光景です。
餌は小さなコオロギやワラジムシなどの昆虫類を与えます。粘膜を飛ばして獲物の動きを封じる衝撃的なシーンは、飼育下でも観察することができます。