ヤマナメクジ
学名:Meghimatium fruhstorferi
サイズ:15cm前後
分布:日本全土
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ふつう、ナメクジと言えば民家周辺でよく見られる4cm程度のものですが、少し郊外や山奥に行くとかなり大型の別種が生息しています。それがこのヤマナメクジです。全長10cm以上になり、見慣れた身近なナメクジの数倍のボリュームには肝を冷やされます。大きいだけで特に人に害を及ぼすことはないですが、見ためのインパクトに恐怖を感じるかもしれません。このように実害はないものの見ていて不気味な無脊椎動物を「不快害虫」と呼びます。物の感じかたは人それぞれなので、ちょっと主観的すぎる呼びかたの気もしますが・・・・。ヤマナメクジの分布域は広く、日本全土にまたがります。山野の樹皮や葉の上に張り付いていることが多く、郊外の民家のコンクリート塀などでも見られます。生息地域によって個体変異があり、南西諸島で見られるヤマナメクジは本州のものとは違った外観です。ヤンバルヤマナメクジと呼ばれる沖縄本島北部の個体群は色彩が肌色で、本州などの個体群よりさらに大型化し、なんと全長20cm近くにまで達します。また、奄美諸島の個体群は地色が赤黒くエグい感じに思えますが、一方で大きさは他の個体群より小さく、最大でも10cm程度。他の地域の個体群にもそれぞれ特色があり、生息地の環境によっても色彩には変異が生じます。これらのうちのいくつかは、今後独立した種として分割されてもおかしくはないと思いますが、現状ではどれも未記載種(種や亜種として正式記載されていない個体群)とされているため、本書ではヤマナメクジの地域個体群として紹介します。
| | | 入手と飼育 | | |
ナメクジ類は雌雄同体の種がほとんどで、本種も例に漏れず2個体がいれば殖えることができます。マダラコウラナメクジの高所から螺旋状に絡み合うような交尾法とは打って変わって、雌雄が平行に並んで交接する至って地味な交尾形態です。他のナメクジと同じく卵生で、20〜40くらいの数の卵を産みます。一般的には不気味な生物とされるナメクジの仲間ですが、陸棲で貝殻のない巻き貝と考えればそれなりに愛らしく見えるもので、飼育個体がニンジンやキュウリなどを健気にかじっている姿は愛嬌さえ感じます。