インディアンタイガーセンチピード
学名:Scolopendra hardwickei 
サイズ:15〜20cm
分布:インド、スリランカ
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初めてこの生き物を見た時の衝撃は、今でも忘れられません。何と言ってもオレンジに黒という奇抜な配色!ムカデに限らずこんな色合いの生き物はそうそういません。数あるScolopendra属の中でも最も美しいムカデと言えます。成長と共に色は若干褪せてきますが、配そのものは全く変わりません。オレンジと黒の模様の入りかたはどの個体でも基本的に同じですが、中には個体変異で色が並ぶ順番が変わっていることもあります。色だけでなく動きも他のムカデとは違って、幼体の頃はラジコンのオモチャのようなカチャカチャとした動きかたをします。その動きは予測しづらく、俊敏に動いては止まり、動いては止まりと見ていてとてもおもしろいです。実は海外で実際にムカデラジコンとしてこの種をモデルにした玩具が商品化もされていますが、独特の動きがとても忠実に再現されています。ムカデの中では中型種の部類になりますが、それでも日本産のムカデに比べるとかなり大型に見えます。毒々しく目立つ色合いは見るからに危険そうで、実際かなり毒性が高く、ムカデ類の中でも取り扱いには注意が必要です。インドを中心にスリランカ、スンダ列島などに分布していて、岩場の乾燥したあ砂地を好みます。他の多くのムカデがジメジメした湿度の高い環境を好むのとは違い、本種ならではのものです。誰もが驚く特徴的な色から愛好家からは絶大な支持を受けており(私自身もその1人です)、ペットとしての流通もごく稀にですがあります。流通量は年々減っていて、今では南米産の巨大種などにも引けをとらないほど高価な種になってしまいましたが、動きや生活環境なども含めそれだけのおもしろさが間違いなくあるので、「コレは!!」と思った人はぜひ飼育してみてください。 
| | | 入手と飼育 | | | 
他のムカデと違った特殊な環境を好むせいか、飼育には癖があります。今まで私も何回も飼育したことがありますが、なかなかひと筋縄にはいきません。一般的なムカデの飼育方法ではまず成功せず、高温多湿な環境で飼育すると、最初は調子が良くても時間が立つと共に徐々に調子を崩していくことが多いのです。とはいえ、ケージ内の全域が常に乾燥しているようでは干からびてしまうので、シェルターなどを入れてその周りはある程度湿度があるようなイメージで環境を整えてやると良いでしょう。最低限のセットとして、30×30cmぐらいの水槽やアクリルケースなど(これより広ければそれに越したことはありません)にヤシガラ土や川砂などを厚めに敷いて、潜れるようにします。なるべく飼育ケースが広いほうが良い理由は、先に書いたとおり、半面は乾燥部、半面はある程度湿度のある場所などというように一つのケージ内に異なった環境が用意でき、ムカデ自身にその時々の好みの場所を選ばせることができるためです。また、通気は必須で、空気がこもってしまうような密閉状態に近い飼育容器はNG。ケージ内の空気はこもらず常に循環しているのが一番理想的と思われます。飼育温度は25〜28℃を維持していれば問題ないようです。飲み水は常に新鮮なものを用意します。数日経って古くなった水は飲まないので、水入れに水があるのに脱水状態になってしまうことが多いです。また、数日に一度ケージ内に軽く霧吹きをしてやると良いでしょう(床材がビシャビシャになったり、長時間蒸れてしまうような量でない程度に)。餌は基本的に昆虫類で、コオロギや餌用ゴキブリを使います。他のムカデと同じく脱皮前になると餌を捕らえなくなりますが、その前兆がない(時に普段と皮膚の色艶や動きは変わらないなど)のに餌を捕らなくなった時は注意が必要です。と言っても、状態が悪化した時の対処法はないので、どうにも手遅れな場合が多いです。突然状態が悪くなるのにはいくつか理由があると思うのですが、床材の汚れや温度、餌の質などさまざまな理由が考えられます。明確にこれらのうつのどれか一つが原因で状態が落ちるというよりは、こうしたいくつかの理由が少しずつ積み重なって、ある日突然表面に状態悪化が表れるといった感じです。予防として、適切な環境が維持できているか常に気を配ることや、ムカデは意外にも清潔な環境を好むので、ケージ内が糞や食べかすで汚れてきたら定期的に掃除することなどを日頃から守っていくことが大切。本種の繁殖に関しては、国内のムカデ愛好家の猛者たちが飼育下での交接から始める完全な繁殖に成功しています。幼体の順調な育成はなかなか難儀なようですが、これからもこのムカデに魅せられて病にかかってしまった私を含む愛好家たちによる試行錯誤と飼育データの蓄積は現在も続けられています!