トリノフンダマシ
学名:Cyrtarachne bufo
サイズ:オス3mm / メス1cm
分布:日本(本州中部以南)
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その名のとおり、鳥の糞に擬態した姿がこの仲間の特徴です。鳥類の糞には尿酸が含まれているため白と黒のまだらのように見えますが、本種の胴部にもやはり白いまだら模様が入り、独特な光沢感や質感なども含め、本当によく似た色形をしています。この特性をうまく使い、外敵から興味を持たれないように擬態しています。この姿は、鳥の糞と間違えて寄ってきたコバエやチョウを捕食するためのものとされていたこともありましたが、本種は夜行性で夜になると糸で巣を作って獲物を待ちかまえることが夜間観察で明らかになったため、現在では捕食のための擬態ではないことが判明しています。日本では、本種を含めたトリノフンダマシ属が5種、近縁のサカダチトリノフンダマシ属の仲間が3種知られています。本種トリノフンダマシなどは前述のとおり鳥の糞に擬態していますが、他のトリノフンダマシ属には、悪臭を出して身を守るテントウムシに似た色彩で捕食者から敬遠されるように擬態している種もいます。また、オオトリノフンダマシの腹部はカマキリの頭に形が似ています。もしかするとこれも捕食者も惑わす擬態なのかもしれません。トリノフンダマシ類の巣の張りかたは変わっていて、非常に目が粗く縦糸や横糸の数も多くありません。横糸には粘着性の球が並んでいて、獲物がこれにかかるとどちらかの端が切れ、縦糸に吊り下がったような状態になります。トリノフンダマシは縦糸を伝って獲物に近づき、横糸をたぐり寄せるようにしてかかった獲物を捕食します。不思議なのは幼体のうちは巣を張って獲物を捕らず、近づいてくる獲物を直接捕食するやりかたで餌を捕ることです。本種のように幼虫と成虫で異なる狩りを行うクモは珍しいです。生息地はわりと多く、比較的見つけやすいクモなので、気になった人は変わった習性を持つトリノフンダマシを飼育してみてはいかがでしょうか。
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