ムカデ
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ムカデは、節足動物門多足亜門ムカデ網に含まれる仲間のことです。ムカデ網から下には2つの亜網が分かれています。そのうちの一方、ムカデ亜網にはオオムカデ目とジムカデ目が含まれます。もう一つのゲジ亜網には、ナガズイシムカデ目とイシムカデ目、ゲジ目と分かれます。つまり、ムカデとゲジはとても近縁な仲間だということが分かります。ムカデは脱皮を繰り返し大きくなりますが、ムカデ亜網は生まれてから成熟するまで脱皮しても形を繰り返すごとに体の節が増えていきます。身近に見かける一般的なムカデの多くは、オオムカデ目のうちオオムカデ科に含まれており、日本国内で見かける代表的なムカデであるトビズムカデはここに分類されています。本書で紹介しているムカデのうちほとんどが、このオオムカデ目オオムカデ科に含まれるオオムカデ属(Scolopendra)に分類されています。オオムカデ目は世界中に広く分布していて、日本国内に約21種、世界には約550種以上が知られています。ジムカデ目は細長い体に地中のムカデで、国内に約60種世界中に約1100種以上が知られています。イシムカデ目は体節の短い小型のムカデで、通常のムカデを寸詰まりにしたような体型をしています。ナガズイシムカデ目は非常に珍しいムカデの一群で、世界中にたった2種、タスマニアとニュージーランドにのみ分布しています。ゲジ目には、国内に約2種、世界中には約130種が知られています。ムカデは基本的にどの仲間も夜行性で、小型のグループは地中や木の下などで土壌生物のような暮らしをしています。オオムカデ目を中心とする大型種は徘徊性で、夜間になると獲物を求めて地上を動き回ります。大型種の生息環境は種によってさまざまで、湿度の高い森林から岩場の乾燥地帯まで幅広く見られます。中には水中で泳ぐムカデも確認されています。ムカデの脚はとても多く、グループによって対になる脚の数が違います。一番多く脚の数を持つのがジムカデの仲間で、多い種では191対もの脚を持ちます。一般的にムカデと認識されるオオムカデ目の仲間では21対か23対となっています。歩行する脚の他に最後の体節には、曳航脚と呼ばれる器官が付いています。曳航脚は触覚状に長く伸びた脚で、移動する時にはあまり使われません。曳航脚は威嚇の時に振り回したりすることに使われ、場合によっては曳航脚を使って器用に獲物を捕獲することもできます。
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危険性!
ムカデ類は前方の脚が変化した大顎を持っています。そこが鋭い牙状になっていて、獲物に噛み付くと毒が注入できる仕組みになっています。ムカデの毒性は種類によって成分が違っており、溶血性の酵素、かゆみや痛み・浮腫を引き起こすヒスタミン、ヒスタミンの反応をより過敏にするセロトニンなどが知られています。ムカデに噛まれ死亡した例は過去数件ありますが、本来致死性の毒を持つ種類はいません、わずかな死亡例は、繰り返し同じ毒性のムカデに噛まれ、アナフィラキシーショック(重度なアレルギー反応)を起こした例、幼児や老人など体力のない者が噛まれた例に限られています。

知ってる?
世界最大のムカデは、「ガラパゴスオオムカデ Scolopendragalapagoensis」と言われており、過去に全長62.5cmの個体の記録があります。